第38帖 鈴虫(二)
十五夜の夕暮に、仏の御前に宮おはして、
端近う眺めたまひつつ念誦したまふ。
若き尼君たち二、三人、花奉るとて
鳴らす閼伽坏の音、水のけはひなど聞こゆる、
さま変はりたるいとなみに、そそきあへる、
いとあはれなるに、例の渡りたまひて、
「 虫の音 いとしげう乱るる 夕べかな」
とて、われも忍びてうち誦じたまふ
源氏物語絵巻より
本日こちらは曇り模様。素敵な月が見れるようお祈りしています。佳き夜をお過ごし下さいませ。
逢季荘